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いくつもの伝説が広く世に知られるスーパースター、ジョン・レノンに、知られざる実話がまだ残っていた。ビートルズを解散したばかりの頃のジョンが、何の面識もない新人ミュージシャンを励まそうとして書いた直筆の手紙が、数十年後にようやく本人に届いたのだ。文面は簡潔だったが、読む者に人生を変えさせるほどの力強さと思いやりに満ちた手紙だった。

そんなドラマティックな実話の映画化が実現、さらにレノン財団から異例の許可が下りて、劇中にジョンが歌うオリジナル・マスターを使用できることになった。ジョンの数々の名曲に彩られた感動作が完成し、アメリカでは今年の3月から公開された。ミニシアターでの上映から始まり、批評家からの絶賛と観客からの熱い支持を受けて拡大公開へ移行、4週目にして全米興行ランキングベスト10へのランクインを果たした話題作が、いよいよ日本にもやって来た。

スターとしての絶頂期を過ぎ、もう何年も新曲を書いていないダニー。往年のヒット曲さえ歌っていればハデな暮らしは続けられたが、どこか空しかった。そんな時、憧れのジョン・レノンからの手紙が届く。43年前、駆け出しの頃のダニーに書かれた手紙を、長年彼を支えてきたマネージャーが見つけたのだ。そこには、富や名声に惑わされず、音楽への愛情を持ち続けることの大切さが綴られていた。

ジョンの言葉に励まされ、人生を変えることを決意したダニーは、ツアーをキャンセルし、顔も見たことのない息子に会う旅に出る。予想通り息子からは激しく拒絶されるが、気立ての良い妻と可愛い孫娘を味方につけ、懸命に愛情を捧げるダニー。しかし、心を開きかけた息子は深刻な病にかかっていた。父として、そしてミュージシャンとしてもやり直すために、ダニーが選んだ道とは──?

主人公のダニーに扮するのは、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』でアカデミー賞®に輝き、ハリウッドのトップに立ち続ける名優アル・パチーノ。欠点だらけなのに愛さずにいられない、チャーミングなダメ男を絶妙のユーモアを添えて軽快に演じた。キャリア半世紀を前にして、誰も見たことのない新たなるアル・パチーノを披露した。

旅先でダニーが泊まるホテルのマネージャー、メアリーにはアカデミー賞®4度のノミネートを誇る『キッズ・オールライト』のアネット・ベニング。30年ぶりの新曲を書き上げようと苦闘するダニーを、厳しくかつ優しく応援するメアリーを魅力的に演じた。ダニーのマネージャーで無二の親友でもあるフランクには、『人生はビギナーズ』でアカデミー賞®を獲得したクリストファー・プラマー。シニカルなジョークに隠した男同士の友情を味わい深く演じ、大人のドラマに真実味を与えた。

さらに、ダニーの息子のトムに『ブルージャスミン』のボビー・カナベイル、その妻のサマンサに『ダラス・バイヤーズクラブ』のジェニファー・ガーナーが扮し、3人のベテラン俳優と見事なハーモニーを奏でた。また、観る者すべてを虜にする愛らしいダニーの孫娘ホープには、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でレオナルド・ディカプリオの娘を演じたジゼル・アイゼンバーグ。

監督は『塔の上のラプンツェル』『カーズ』『ラストベガス』『ラブ・アゲイン』の脚本で高く評価されたダン・フォーゲルマン。

ジョン・レノンの不滅の魂が込められた歌声と物語が響き合う名シーン、そして「自分の出た映画を観て初めて泣いた」とパチーノが打ち明けたラストシーン──いつまでも心に残る感動作が誕生した。

story

満員の観客の大歓声に迎えられ、往年の大ヒット曲「ヘイ・ベイビードール」を歌い踊るダニー・コリンズ(アル・パチーノ)。内心はマンネリなステージにウンザリしているダニーは、長年のマネージャーで親友のフランク(クリストファー・プラマー)に「いい公演だった」と言われても、楽屋ではどんよりと落ち込んでいた。

翌日、婚約者のソフィー(カタリーナ・キャス)が、豪邸でダニーの誕生パーティを盛大に開く。宴が終わる頃、フランクから驚きのプレゼントを渡されるダニー。それは、崇拝するジョン・レノンからダニーへの手紙だった。デビュー間もない43年前、雑誌のインタビューで成功への不安を語ったダニーに、ジョンが励ましの手紙を書いてくれたのだ。編集者がコレクターに売りつけたために、ダニーのもとへは届かなかった。

「金持ちで有名になることで君の音楽は堕落しない。音楽と自分自身に忠実であれ。」ジョンの言葉に目を開かされ、人生を変えると決めたダニーは、ソフィーに別れを告げ、ニュージャージーへと旅立つ。

ダニーが小さなホテルに飛び込みで入ると、ドアマンのニッキー(ジョシュ・ペック)もフロント係のジェイミー(メリッサ・ブノワ)も、突然現れた有名人に舞い上がるが、支配人のメアリー(アネット・ベニング)だけは落ち着いていた。ダニーのジョークに気の効いた返しで応え、夕食の誘いを感じよく断る彼女をすぐに気に入ったダニーは長期滞在を決める。

ダニーはフランクを呼ぶと、ツアーはキャンセル、クスリと怠惰な生活とは縁を切り、30年ぶりに新曲を書くと宣言する。実は作曲以外にも、やるべきことがあった。顔も見たことのない息子のトムに会いに行くのだ。ずっと訪ねる勇気が出なかった住所には、妊娠6カ月の妻サマンサ(ジェニファー・ガーナー)と7歳になる娘のホープ(ジゼル・アイゼンバーグ)がいた。元気で愛くるしいホープが、多動性障害だと聞いて動揺するダニー。さらに妻からの電話で勤め先の建設会社から駆け付けたトム(ボビー・カナベイル)に、「2度と来るな」と言われてしまう。

ホテルのバーで泥酔するダニーに、声を掛けるメアリー。ダニーは息子のこと、メアリーは離婚して一人で娘を育てていることを語り合う。話題は尽きることなく、軽妙な掛け合いを楽しみながら飲み明かす二人。部屋に運び込んだピアノで書きかけの曲を披露するダニーに、メアリーは新曲も息子も諦めないようにと励ますのだった。

次の日から、なりふり構わず息子一家に愛情を捧げるダニー。コネを駆使してホープを障害に取り組む有名学校へ入学させたダニーは、「今日の恩で恨みは消えた」とトムから許される。だが、喜んだのも束の間、亡き母と同じ白血病が進行しているというトムの告白に愕然とするダニー。2度とこの手を離さないと誓ったダニーは、思わぬ行動に出る──。

1940年、アメリカ、ニューヨーク市イーストハーレム生まれ。『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(92)で、アカデミー賞®主演男優賞を受賞した。また、ハリウッド外国記者協会よりセシル・B・デミル賞(01)、アメリカン・フィルム・インスティテュートより生涯功労賞(07)が贈られ、2012年にはオバマ大統領より全米芸術勲章が授与された。舞台と映画で独自の活躍を続ける名優である。

最初に高く評価されたのは、フランシス・フォード・コッポラ監督にマイケル・コルレオーネ役に抜擢され、アカデミー賞®助演男優賞にノミネートされた『ゴッドファーザー』(72)。その後、『セルピコ』(73)、『ゴッドファーザーPART II』(74)、『狼たちの午後』(75)、『ジャスティス』(79)と、4回も同賞主演男優賞にノミネートされた。さらに、『ディック・トレイシー』(90)、『摩天楼を夢みて』(92)でも同賞助演男優賞にノミネートされた。

その長く豊かなキャリアにおいて、『スカーフェイス』(83)、『シー・オブ・ラブ』(89)、『ヒート』(95)、『フェイク』(97)、『インサイダー』(99)、『エニイ・ギブン・サンデー』(99)など、45本以上の映画に出演した。最新作は、シンタロウ・シモサワ監督の『Beyond Deceit』(16)。

監督業にも進出、『リチャードを探して』(96)、『Chinese Coffee』(00)、『Wilde Salomé』(11)、『Salomé』(13)を手掛けた。

数多くの舞台にも出演、ブロードウェイ・デビュー作「Does a Tiger Wear a Necktie?」でトニー賞助演男優賞を受賞。「The Basic Training of Pavlo Hummel」で同賞主演男優賞を受賞。2011年、「ヴェニスの商人」のブロードウェイ公演で、同賞主演男優賞にノミネートされた。

TVでは、ミニシリーズ「エンジェルス・イン・アメリカ」(03)とTV映画「死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実」(10)で、ゴールデン・グローブ賞とエミー賞を獲得した。

1958年、アメリカ、カンザス州トペカ生まれ。『グリフターズ/詐欺師たち』(90)でアカデミー賞®にノミネートされた。続いて『アメリカン・ビューティー』(99)で2度目の同賞ノミネートを得てゴールデン・グローブ賞にもノミネートされ、英国アカデミー賞を受賞した。さらに『華麗なる恋の舞台で』(04)で3度目のアカデミー賞®ノミネートを得て、ゴールデン・グローブ賞を受賞。2010年の『キッズ・オールライト』で4度目のアカデミー賞®ノミネートとなり、ゴールデン・グローブ賞、NY映画批評家協会賞を受賞した。

そのキャリアに対して、ボストン、パーム・スプリングス、シカゴの各映画祭で生涯功労賞に相当する賞を受賞した。また、2010年にハリウッド映画祭で年間最優秀女優賞、2011年にサンタバーバラ映画祭でアメリカン・リヴィエラ賞を受賞した。

その他の主な出演作には、『恋の掟』(89)、『ハリウッドにくちづけ』(90)、『真実の瞬間(とき)』(91)、『心の旅』(91)、『めぐり逢い』(94)、『リチャード三世』(95)、『マーズ・アタック!』(96)、『マーシャル・ロー』(98)、『愛する人』(09)、『ルビー・スパークス』(12)、『フェイス・オブ・ラブ』(13)、『あの日の声を探して』(14)などがある。最新作は夫のウォーレン・ベイティの監督作。

1970年、アメリカ、ニュージャージー州ユニオン・シティ生まれ。ウディ・アレン監督の『ブルージャスミン』(13)、『ANNIE/アニー』(14)、『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(14)で全く違うタイプの役を演じて評価された。その他の主な映画出演作には、『Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?』(04)、『ファーストフード・ネイション』(06)、『ムービー43』(13)、『PARKER/パーカー』(13)、『ラヴレース』(13)などがある。最新作はジェイソン・ステイサム共演の『Spy』(15)。

TVでは、「ウィル&グレイス (シーズン6〜8)」(04〜06)でエミー賞を受賞。「ボードウォーク・エンパイア3 欲望の街」(12)で2度目のエミー賞に輝いた。「ナース・ジャッキー4〜5」 (12〜13)でも、エミー賞に2年連続でノミネートされた。

舞台でも実績があり、ブロードウェイの「Mauritius」(07)でトニー賞にノミネートされ、「The Mother**ker with the Hat」(11)でも同賞にノミネートされた。「グレンギャリー・グレン・ロス」(12〜13)では、アル・パチーノと共演している。

1986年、アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク市生まれ。子役から大人の主役を張れる俳優へとスムーズな移行を遂げ、ハリウッドの若手有望株の一人として注目されている。

人気TVシリーズ「ドレイク&ジョシュ」(04〜07)のジョシュ役で知られる。映画では、2004年の『さよなら、僕らの夏』で、アンサンブル・キャストとしてインディペンデント・スピリット賞特別賞を受賞した。その後、『アン・ハサウェイ/裸の天使』(05・未)、『レッド・ドーン』(12)、『バトル・オブ・ザ・イヤー ダンス世界決戦』(13・未)などに出演。最新作は、『The Timber』(15)、『The Labyrinth』(15)、ジェームズ・フランコ監督の『Bukowski』(15)。

1972年、アメリカ、テキサス州ヒューストン生まれ。映画とTVの両方で華々しい成功を収めているトップ女優。

1TVシリーズ「エイリアス/2重スパイの女」(01〜06)で人気を得て、ゴールデン・グローブ賞に4回ノミネートされ、1回受賞。エミー賞にも4回ノミネートされた。

1映画では、2007年のジェイソン・ライトマン監督の『JUNO/ジュノ』で注目され、2013年の『ダラス・バイヤーズクラブ』で、共演者と共にSAG賞キャスト賞にノミネートされた。2014年には、ケヴィン・コスナー共演の『ドラフト・デイ』、ジェイソン・ライトマン監督の『ステイ・コネクテッド〜つながりたい僕らの世界』(未)、『アレクサンダーの、ヒドクて、ヒサンで、サイテー、サイアクな日』(未)に出演した。

1その他の主な映画出演作には、『パール・ハーバー』(01)、『デアデビル』(03)、『キングダム/見えざる敵』(07)、『バレンタインデー』(10)などがある。最新作は、ケヴィン・スペイシー共演の『Nine Lives』。

1929年、カナダ、オンタリオ州トロント生まれ。約60年のキャリアを通して、演劇界で最も敬意を集める俳優の一人で、100本以上の映画に出演してきた大ベテランである。

『終着駅 トルストイ最後の旅』(09)でアカデミー賞®助演男優賞にノミネートされ、『人生はビギナーズ』(10)で同賞を受賞した。その他、『12モンキーズ』(95)、『インサイダー』(99)、『ビューティフル・マインド』(01)、『Dr. パルナサスの鏡』(09)、『ドラゴン・タトゥーの女』(11)、『トレヴィの泉で二度目の恋を』(14)などに出演。最新作は、アトム・エゴヤン監督の『Remember』(15)。

100本近くあるTV出演作ではエミー賞に7回ノミネートされ2回受賞。舞台でもトニー賞に7回ノミネートされ2回受賞している。

1968年、英国女王エリザベス二世よりカナダ勲章コンパニオン(名誉ナイト爵位)を授かった。1986年には演劇殿堂入りを果たし、1998年にカナダでもウォーク・オブ・フェイムに名を刻まれた。2001年にはカナダ総督より生涯功労賞を受賞。

1988年、アメリカ、コロラド州リトルトン生まれ。批評家に絶賛されたTVシリーズ「HOMELAND (シーズン1)」(11)にゲスト出演した後、全米で900人集まったオーディションを勝ち抜き、人気シリーズ「Glee」の新しいキャスト(マーリー・ローズ役)に起用されてシーズン4(12〜)より出演、今最も期待されている若手女優の一人。

映画でもアカデミー賞®5部門にノミネートされ、世界的ヒット作となった『セッション』(14)に出演して注目された。最新作は、ニコラス・スパークスの小説を映画化した『The Longest Tale』(15)、「トム・ソーヤーの冒険」と「ハックルベリー・フィンの冒険」の世界を現代に置き換えた『Band of Robbers』(15)、「Glee」のブレイク・ジェナーが脚本を手掛けた『Billy Boy』(15)。

staff

アメリカ、ニュージャージー州で生まれ育ち、ペンシルベニア大学で英語学の学士号を取得、在学中にオックスフォード大学に1年間留学した。脚本家として映画界でのキャリアをスタートし、長編映画第1作としてジョン・ラセター監督の『カーズ』(06)を手掛けた。続いて、『ボルト』(08)、『塔の上のラプンツェル』(10)と大ヒットアニメーションの脚本を担当した。実写映画では、『ブラザーサンタ』(07)、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン主演の『ラブ・アゲイン』(11)、バーブラ・ストライサンド、セス・ローゲン主演、フォーゲルマンと母親の実話を基にした『人生はノー・リターン 〜僕とオカン、涙の3000マイル』(12・未)、ロバート・デ・ニーロ、マイケル・ダグラス、モーガン・フリーマン、ケヴィン・クライン主演の『ラストベガス』(13)を手掛けた。

TVシリーズでは、「Like Family」(03〜04)、ジェイミー・ガーツ主演の「The Neighbors」(12〜14)、ミュージカル・コメディ「Galavant」(15)の数話の脚本と、企画、製作総指揮を担当した。

本作で監督デビューを果たし、今後が期待されている。

急速に名声を得ている才能豊かなカメラマン。ライアン・ジョンソン監督とは、昔からの親友で名コンビでもあり、『BRICK ブリック』(05)、『ブラザーズ・ブルーム』(08・未)、『LOOPER/ルーパー』(12)の撮影を担当した。

その他の作品は、『MAY -メイ-』(02)、トビー・フーパー監督の『ツールボックス・マーダー』(03・未)、『えじき』(04・未)、ヘレナ・ボナム=カーター、アーロン・エッカート主演の『カンバセーションズ』(05)、『unknown アンノウン』(05)、『地球外生命体捕獲』(06)、ナタリー・ポートマン主演の『水曜日のエミリア』(09)、キンバリー・ピアース監督、クロエ・グレース・モレッツ主演の『キャリー』(13)など。最新作は、ドウェイン・ジョンソン主演、ブラッド・ペイトン監督のディザスター映画『San Andreas』(15)。

編集助手としてスタートし、オリヴァー・ストーン監督の『ウォール街』(87)、『7月4日に生まれて』(89)、『ドアーズ』(91)、カーティス・ハンソン監督の『激流』(94)などに参加した。独立してからはストーン監督と長年タッグを組み、『JFK』(91)、『ワールド・トレード・センター』(06)、『ブッシュ』(08)、マイケル・ダグラス主演の『ウォール・ストリート』(10)を手掛けた。アーウィン・ウィンクラー監督作品でも知られ、『アット・ファースト・サイト/あなたが見えなくても』(99・未)、『海辺の家』(01)、エディー賞候補となった『五線譜のラブレター DE-LOVELY』(04)を担当した。また、マシュー・マコノヒー主演、ジェフ・ニコルズ監督の『MUD マッド』(12)で高く評価され、同監督の最新作『Midnight Special』(15)も手掛けている。

その他の作品は、エイドリアン・ライン監督の『ロリータ』(97)、ローランド・エメリッヒ監督の『パトリオット』(00)、ダイアン・キートン監督の『電話で抱きしめて』(00)、『ジーリ』(03・未)、『ビッグ・ホワイト』(05・未)、『運命の元カレ』(11・未)など。

最初に注目されたのは、ダグ・リーマン監督に起用された『スウィンガーズ』(96)。その後もリーマン監督作品は、『go』(99)、『ボーン・アイデンティティー』(02)、『Mr.&Mrs. スミス』(05)、トム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)などを手掛け、高い評価を得た。

2007年、大ヒットアニメーション『アルビン/歌うシマリス3兄弟』で、アメリカン・ミュージック・アワードの最優秀サウンドトラック賞を受賞。その続編『アルビン2 シマリス3兄弟(しまっピーズ)vs. 3姉妹(しまペッツ)』(10・未)のサウンドトラックはゴールドディスクと認定された。2011年と2012年には、年間最優秀音楽監修賞を受賞。さらに『ピッチ・パーフェクト』(12)で、再びアメリカン・ミュージック・アワードの最優秀サウンドトラック賞を受賞した。

その他の作品は、『ミニミニ大作戦』(03)、『バレンタインデー』(10)、『イースターラビットのキャンディ工場』(11)など。最新作は、『ピッチ・パーフェクト2』(15)、『Sisters』(15)、アナ・ケンドリックが声の出演をするミュージカル・アニメーション『Trolls』(16)。

キャピトル・レコード、20世紀フォックス、EMIレコード、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・ピクチャーズを経てフリーの音楽監修者となる。『奇跡のシンフォニー』(07)で、アカデミー賞®主題歌賞、グラミー賞サウンドトラック賞にノミネートされた。2010年と2012年に、ハリウッド・ミュージック・イン・メディア・アワードで映画部門最優秀音楽監修賞を受賞。また2011年と2012年には、音楽監修者協会賞の映画部門最優秀音楽監修賞に輝いた。ジュリアンヌ・ジョーダンとチームを組んだ『ピッチ・パーフェクト』(12)では、アメリカン・ミュージック・アワードの最優秀サウンドトラック賞を受賞。

その他の作品は、『プラダを着た悪魔』(06)、『セックス・アンド・ザ・シティ』(08)、『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』(08)、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた『シングルマン』(09)、『しあわせの隠れ場所』(09)、『アルビン3 シマリスたちの大冒険』(11・未)、『31年目の夫婦げんか』(12)など。最新作は、ジョーダンと組む『ピッチ・パーフェクト2』(15)、『Sisters』(15)、『Trolls』(16)。

アカデミー賞®作品賞を受賞した名作『シカゴ』(02)を始め、ミュージカル映画の音楽監修における第一人者。『ドリームガールズ』(06)で、サウンドトラックのプロデューサーとしてグラミー賞にノミネートされ、放送批評家協会賞でも最優秀サウンドトラック賞にノミネートされた。その後、『ロック・オブ・エイジズ』(12)で再びグラミー賞にノミネートされた。

その他の作品は、『RENT/レント』(05)、『ヘアスプレー』(07)、『NINE』(09)、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』(11)、『フットルース 夢に向かって』(11・未)、『はじまりのうた』(13)、『ウォルト・ディズニーの約束』(13)、『ANNIE/アニー』(14)など。

音楽界で最も注目されるアーティスト兼プロデューサーの一人。2011年には、ブルーノート・レコードの社長に就任した。ボブ・ディラン、エルトン・ジョン、ブライアン・ウィルソンなど数々の一流ミュージシャンのアルバムをプロデュースしているが、最も有名なのはローリング・ストーンズ。「ヴードゥー・ラウンジ」(94)、「ブリッジズ・トゥ・バビロン」(97)、「ア・ビガー・バン」(05)などを手掛けた。また、彼らの名盤復刻のプロデュースも担当、2010年に「メインストリートのならず者」、2011年に「女たち」、2015年に「スティッキーフィンガーズ」をリリースした。

ビートルズへの造詣も深く、彼らの結成時を描いた『バック・ビート』(94)では、ニルヴァーナ、R. E. M.、ソニック・ユースなど、今では伝説となったオルタナティブ・バンドのメンバーでスーパーグループを編成し、ビートルズの初期の曲をカバーしたサウンドトラックを作り上げた。2014年には、ビートルズが「エド・サリバン・ショー」に初めて出演してからちょうど50年を記念したTVスペシャル「The Night That Changed America: A Grammy Salute to the Beatles」(14)で音楽監督を務め、エミー賞を獲得した。ポール・マッカートニー、リンゴ・スターも出演し、自らもベースを演奏した。

production notes
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脚本家として高く評価されていたダン・フォーゲルマンは、ある時驚くべき実話を耳にする。イギリスのフォークミュージック界では名を知られているスティーヴ・ティルストンが、デビューして間もない1971年に、マイナーな音楽雑誌「ジグザグ」のインタビューを受けた。そこで、「富と名声を手に入れたら、作る歌に影響が出ると思うか」と質問されたティルストンは、「大変な悪影響が出るだろうね」と答えた。

時は過ぎて2005年、シンガーソングライターとして活躍を続けるティルストンのもとに、突然アメリカの収集家から連絡が入る。ティルストン宛の手紙を入手したのだが、それが本物であることを証明してほしいと言うのだ。手紙の送り主は、ティルストンが崇拝するヒーロー、ビートルズのジョン・レノンだった。レノンは「ジグザグ」の記事を読んだらしく、文面にはこうあった。「富を手に入れたからといって、物の見方は変わらない。」「とても親切な手紙だった」とティルストンは語る。「私を手厳しく非難するような調子では全くなかった。最後は『さて、君はどう思う?』と結ばれていて、その下に自宅の電話番号が書いてあったんだ。」

もしティルストンがこの手紙を受け取り、レノンに連絡を取っていたら、彼の人生はどう変わっていただろう。そう考えたフォーゲルマンは、彼に会って直接聞いてみることにした。ティルストンは、こう語った。「人生は“もし……”と考えたくなる瞬間だらけだ。もし、ジョン・レノンに会っていれば、それは素晴らしかっただろう。意気投合したかもしれないし、会った途端に嫌われて、帰れと言われたかもしれないけれどね。」

ティルストンの答えを聞いても、フォーゲルマンの想像の翼は羽ばたき続けた。「もしも彼が名声と富を手に入れて、しかもとても不幸だったら?」そんな疑問から、本作が生まれた。

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脚本を書き始めたフォーゲルマンには、主人公のダニーを演じる俳優の姿がハッキリと見えていた。「アル・パチーノだ。でも、脚本を書いている時は、彼が読んでくれるなんて想像もできなかった。当時、彼はブロードウェイに出演中だったから、楽屋まで会いに行ったんだ。ところがどういうわけか、気が付くとアルと街をぶらつき、“私が監督するから任せてくれ”なんて話してるんだ。これまで監督業に手を染めたことなんて一度もなかったのに。」

パチーノはフォーゲルマンの申し出に大喜びしたが、同時に面喰いもしたと言う。「信じられなかったよ。この役を演じられる俳優は他にいくらでもいるっていうのに、ダンは私をほしがった。自分が予想もしなかった役を演じてほしいと言われた時は、それだけでもうOKなのさ。『ゴッドファーザー』でそういうことは経験済みだ。私がマイケル・コルレオーネ役に相応しいなんて、私自身でさえ思わなかった。だが、フランシス・フォード・コッポラ監督は私を選んだ。今回もダンは私の中に、あの役にぴったりの何かを見つけてくれたんだ。彼には本当に感謝しないといけない。」

パチーノがダニー役を引き受けたので、フォーゲルマンはこの大スターのために脚本に手を加えた。一方、パチーノはフォーゲルマンについて、「彼が素晴らしい脚本家だと知っていた」と語り、「脚本は期待を裏切らない出来栄えだった。心を込めて書かれていたよ」と称賛する。「私自身もダニーと同じような経験をしてきた。叩かれて、持ち上げられて、また叩かれる。卓球のピンポン球になったような気分だよ。」

しかし、監督となると話はまた別だった。パチーノは「フォーゲルマンが監督もできるとは知らなかった」と振り返る。「これまで才能豊かな監督たちと仕事をしてきたけれど、初めて監督する連中には少しばかり用心している。腕前が未知数だからね。」

本当を言うとフォーゲルマンは、伝説の存在であるパチーノを演出することに怖気づいていた。しかし、親切で礼儀正しいパチーノの人となりを知って自信を取り戻したと言う。パチーノの方は、「彼は撮影初日から堂々としていた。だから、私も信頼することにしたんだ」と語っている。

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フォーゲルマンにとって、監督デビュー作としては何もかもが破格に恵まれていた。出演者には、アカデミー賞®受賞者が二人、4度もノミネートされた俳優が一人、ゴールデン・グローブ賞受賞者が一人、2度のエミー賞受賞者一人が揃ったのだ。フォーゲルマンは、「アル・パチーノに続いて、アネット・ベニング、クリストファー・プラマー、ジェニファー・ガーナー、ボビー・カナベイルの出演が決まった。なんて重量級なんだ。数多の俳優たちの中で最高の5人をキャスティングできて、しかもその誰もが付き合って楽しい人たちなんだから、本当についていたよ」と微笑む。

撮影が始まったばかりの頃、彼らが共通する話題で盛り上がるのを見てうれしかったとフォーゲルマンは続ける。「夜の街にディナーに繰り出した時も、テーブルを囲みながら、皆演劇の話ばかりしているんだ。アルとクリストファー、アネットとボビーはいつも舞台に立っているし、ジェニファーもニューヨークの舞台で第1歩を踏み出したところだった。ハリウッドのセレブたちが、シェイクスピアのことで大騒ぎしてるのさ。」

フォーゲルマンは、撮影の間の週末の午後を、出演者たちと一緒にパチーノの家の裏庭で過ごし、翌週の撮影場面の練習をしたことを思い出す。「30度を超える熱気の中で、小さなピクニックテーブルを囲んで、あのメンバーで読み合わせするなんて、驚くべき経験だった。皆でセリフをいじり、私は演出のアイデアを思いついたりした。」

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ホテルのマネージャー、メアリー・シンクレアに扮したアネット・ベニングとの共演をパチーノが振り返る。「アネットは私をたじろがせるほどの演技を見せてくれた。その上、彼女の頭からはユニークな発想が絶え間なく生まれてくる。一緒に仕事をするのは実に楽しかったよ。」

 

「二人の関係は美しいラブストーリーに発展するが、絵に書いたようなロマンティックなものとは違う。もっと深くて中身のある関係が築かれていく。アルとアネットには実に自然な相性の良さがあった。見ているだけで感動的だったよ」とフォーゲルマンも二人の掛け合いを絶賛する。

ベニングの方は、「皆で少し早目に練習や検討に手を付けたことが良かったわ。映画を作る喜びは、そんなところにあるのよ。予想もしないものが生まれるの。でもそういうことが起こるのは、アル・パチーノのような人と一緒にやる時だけだけれどね」と語る。また彼女は、フォーゲルマンが脚本を自由に変えさせてくれたことに感謝している。「自分で脚本を書く監督って、大変な時間とエネルギーと愛を捧げて書いた言葉を正確に言ってもらいたがることが多いの。でもダンは、私たちのアイデアをとても喜んでくれたわ。」

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長年に渡りダニーのマネージャーを務め、親友でもあるフランク・グラブマン役には、アカデミー賞®助演男優賞を受賞したクリストファー・プラマーが選ばれた。フォーゲルマンがパチーノとプラマーの関係について説明する。「二人は、実生活でも気の置けない仲なんだよ。クリストファーは、この物語に魂と笑いを吹き込んでくれた。素顔は実に上品な人物だけれど、この映画では今までにないタフな演技を見せてくれた。」

「クリストファー・プラマーは天才だよ。こんな演技にはめったに出会えるものじゃないから、充分楽しんでくれ」とパチーノも称賛を惜しまない。二人の共演は2度目になる。「『インサイダー』で共演したよ。素晴らしい映画だった」とプラマーが振り返る。「アルとは何年も前から知り合いで、私のブロードウェイの舞台をたくさん見てくれている。常に誠実な男だよ。舞台でも映画でも、彼は自ら名優の称号を勝ち取ったんだ。」

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ダニーの息子トム・ドネリーには、ボビー・カナベイルが扮している。「アルとボビーが、普段からとても仲がいいのが役に立った。それも彼を選んだ理由の一つさ。そういう関係はスクリーンに滲み出るからね」とフォーゲルマンが説明する。

撮影が始まったのは、カナベイルとパチーノが、デヴィッド・マメットの「グレンギャリー・グレンロス」のブロードウェイ上演を終えたばかりの頃だった。「僕の世代の俳優たちは、一人残らずアル・パチーノを尊敬している。舞台で彼と共演できるなんて、とてつもない事件だった。その上、今度は映画でも共演できるとはね」とカナベイルは喜ぶ。パチーノもカナベイルのおかげで、ダニーと息子の感情的に難しい場面が演じやすくなったと言う。

トムの妻のサマンサ役に扮したのは、ジェニファー・ガーナーだ。3人の子供を持つガーナーは、家族であることの意味を教えてくれるようなドラマが好きだと語る。「この映画に参加できてとてもうれしいわ。家族がなぜ愛し合うのか、なぜ面倒を引き起こすのか、そういう疑問の核心に迫る作品よ。」

ガーナーは、パチーノの演技を最前列で見ることができることも大きな魅力だったと語る。「アルは人生最高の時を迎えているように見えたわ。軽やかでリラックスしていて、ダンスも歌も楽しんでいた。きっと観客は彼の持ち歌を歌うようになるわ。映画のスタッフも、1日中歌っていたもの。」

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フォーゲルマンは、自分が見て楽しめるものを作ることが目標だったと語る。「セカンド・チャンスを手に入れようと、頑張る人々を描きたかった。最近、この手の映画はどんどん少なくなっているからね。そんな映画を愛する洗練された観客のために、この脚本を書いた。笑わせて泣かせる、大人のための映画なんだ。真剣そのものの場面にさえ、ユーモラスな瞬間がある。最高の賛辞は単純に『大好きな映画です』と言ってくれることだね。その一言だけでいい。映画館で過ごす2時間を本当に楽しんでくれれば、それで充分だ。」

完成した映画をパチーノのために試写した日が、自分の人生で最も緊張した日だとフォーゲルマンは振り返る。「アルには、“任せてくれ、大丈夫だ”と確約したし、私はその約束を守ろうと最善を尽くした。だが、人の好き嫌いはわからないからね。アルは、映画の初号を劇場で一人きりで見るのが好きなんだ。場内にはアル以外に誰もいない。待っている間、居ても立っても居られない気分だったよ。そしたら彼から、素晴らしいメールが来たんだ。やっつけられるのは覚悟していたのに、最後の場面では『自分の出た映画を見て初めて泣いた』と書かれていた。」

パチーノが締めくくる。「この映画は、人生を誰かと過ごすことがいかに大切かを教えてくれる。相手が家族であろうとなかろうとね。私が感動したのはそこさ。今でも感動しているよ。他の人たちにも同じように作用するといいね。皆と語り合いたくなる映画だよ。人生や人間関係について、大切なことを語りかけてくれるんだ。」

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キャリア史上初めてのミュージシャン役を演じたアル・パチーノは、その感想をこう語る。「妙な感じだった。でも、ロックスターには、なれるものならなってみたい。たくさんの俳優たちが、そう願って映画の中で歌っている。だが、冷静に考えれば、自分がどんなにうまく歌えると思っても、実際にはプロの歌手じゃないとわかる。ダンが励ましてくれたから、できるだけのことをしたよ。」

ダニーのステージのシーンは、ロサンゼルスの伝説的なグリーク・シアターで撮影された。ロックバンドのシカゴのコンサートに割り込んで、休憩時間にパチーノが歌ったのだ。尊敬するアル・パチーノを、CG合成用のグリーンスクリーンの前で歌わせるわけにはいかないと考えたダン・フォーゲルマン監督が、グリーク・シアターとシカゴと交渉して、ステージに上がれる時間を10分間手に入れたのだ。カメラは前もって、あちこちに配置された。

その時の様子をパチーノが振り返る。「シカゴと同じステージで、それもグリーク・シアターで歌ったなんて、もう死んでもいいよ。ダンは大胆なことをやったものさ。当然ながらステージに上がった時には、すごくリアルな空気を感じたよ。」

フォーゲルマンが最も恐れたのは、グリーク・シアターを満杯にしている観客が、パチーノの歌をじっと聞いてくれるかどうかだった。観客が一人残らずトイレに行ってしまったらどうしようと心配したのだ。しかし、ダニーに扮するパチーノが登場しても、誰も席を立たなかった。それどころか、会場は大騒ぎになった。パチーノは7回歌ったが、本物の観客と完全にコミュニケーションを取り合っていた。映画のために作られた、まだ誰も知らない曲を、ダニーと一緒に6,000人が歌ったのだ。

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ダニー・コリンズの往年の大ヒット曲という設定で、キーラン・グリビンとグレッグ・エイガーが作詞・作曲した。美しくてクセになる曲で、一度聞いたら頭から離れなくなる。実際、撮影中にアル・パチーノがずっと口ずさみ、スタッフ一同も毎日毎晩、歌い続けたという。

ダニーをスターダムに押し上げたこの曲は、世界中のファンに愛されると共に、ダニーが人生の中で憎むものすべての象徴になる。ダニーはキャリアを通してずっとこの曲を歌い続けてきた。今ではダニーと観客の間の掛け合いみたいなものになっている。歌に参加するのが、ファンの楽しみなのだ。ダニーは皆が一緒に歌えるようにと観客席に向かってマイクを差し出す自分を、MCにすぎないと自嘲する。

「この曲が、良きにつけ悪しきにつけ今のダニーを作り上げた」とパチーノが解説する。「だが、同時にこの曲は、彼が天賦の才能を捨て去る過程も象徴している。ダニーは富と引き換えに、自分が持っていた特別なものを捨てた。そのせいで報いを受けることになるんだ。」

ダニー・コリンズの30年ぶりの新曲という設定で、ドン・ウォズと、米シンガー・ソングライターの最高峰の一人と言われ、前作と最新アルバムが連続してグラミー賞にノミネートされたライアン・アダムスが書いた2曲目のオリジナルソング。ヒットを狙った「ヘイ・ベイビードール」のアップビートとは対極に位置するシンプルな曲で、ダニーが戻りたいと思っているすべてを象徴している。ダニーというキャラクターを確立するために、「ヘイ・ベイビードール」と同じくらい重要な曲だ。

人生を振り返ることについて歌う、イマジネーション豊かな曲で、ダニーが自分の才能を取り戻そう、自分の本当の気持ちと希望を音楽に注ぎ込もうと奮闘する後半部分に度々流れる。やがてダニーの人生の新しいテーマ曲になり、映画の最後の場面にも流れて、彼がどこに辿り着いたかを示している。

この曲へのパチーノの思い入れについて、フォーゲルマンはこう語る。「アルはこの美しい歌詞を自分のものにするために、何もかも削ぎ落とした。ボブ・ディランのようなイメージで歌っている。私と一緒に実際にピアノの前に座り、この歌のために何度も何度も練習したよ。アルの声はひどくかすれてきて、忘れ難いほどの見事さだった。」

本作にとって、ジョン・レノンの楽曲は必要不可欠だった。当然ながら製作スタッフは、カバー曲ではなくオリジナル・マスターを使用したいと考えたが、映像作品への使用許可はハードルが高いこともよく知っていた。ところが、「レノン財団が、この映画を気に入ってくれたんだ」と、フォーゲルマンは胸を張る。「この物語が、ある意味でジョンへのラブレターだとわかってくれて、彼の曲をいくつか使わせてくれたんだ。『イマジン』もね。この映画は超大作じゃないから、実にありがたかったよ。」

ジョンの曲は、物語と響き合うように効果的に使われている。たとえば、ダニーが既に大人になっている息子のトムと初めて会う時、トムは自分を見捨てたにも等しいこの男を恨んではいないと言う。だが、わだかまりがあるのは明らかだ。とても痛々しいが、どこかおかしみもある、心に残るシーンだ。ここでは、ジョンが息子のショーンを想って書いた「ビューティフル・ボーイ」が流される。ジョンの歌声が美しい背景になると同時に、重要な登場人物の一人になり、観る者の心に深い余韻を残す。